冬の集中Dパーティ 越美/橋架谷・毛尻谷中間尾根〜荒島岳

■04/03/13-14      ■阪/服部・伊藤・田中由  〔記〕田中由


「これが最後かもしれんなぁ・・」

前夜発、荒島岳に向かう車の中でMOさんが言った。
MOさん曰く集中山行は欠かさず参加しているものの、ここ最近はパーティーの中で遅れ気味で歩き『迷惑をかけていた』というのだ。そんなこと言ったら自分はどうなるんだと思った。今回のメンバーの中で明らかに私が一番弱い。
「僕が一番弱いと思うんですけど」
こう答えると、隣の伊藤さんが自分の方が弱いと言い出す。
かくして阪リーダーを蚊帳の外にし、三人『自分が一番弱い』言い争いをしながら、車は白鳥インターを目指すのであった。
勝原スキー場の駐車場に到着すると高橋Bパーティーが正にテントを出して泊まりの準備中。すぐ隣にテント設営してお決まりの酒盛りを少々。AM2:00就寝。
 

AM5:30起床。隣のBパーティーは早々にテントを撤収して準備を始めている。AM6:35車で登山口まで移動開始。Aパーティーももう出発したようだ。深夜に到着したのだろうCパーティーと思われるテントはまだピクリともしていなかった。
車で五分程度南東に行ったところ、橋架谷の橋を越えたところが毛尻尾根の末端だ。丁度工事現場になっていて少し車を置くスペースがある。ちょっと心配だが他にスペースも無いのでここに停めた。土日は工事も休みだと信じよう。

AM7:20橋架谷の右岸から取り付く。阪リーダーからトップを命じられた。突然で驚いたが、ちょっと嬉しくて興奮した。雪の厚みは5cmほどだ。谷の斜面を慎重にトラバースする。草付きの斜面に足場はあるのだが、下手をすると滑って谷に落ちそうだ。よく見ると階段になっていて怪しげなロープもぶら下がっている。必死になって階段にしがみついた。(正直な話、この山行ではここが一番怖かった。)
谷を突破した後は急登が待っていた。足を蹴りこんでも雪が腐っていてなかなか上にあがれない。AM7:50。すこし傾斜の緩い466m地点に着いたところで早くも一本とってしまった。最近山に入ってなかったせいか、疲れ方が尋常では無い。腐った雪も辛かった。
ここからはアイゼンをはいた。雪はしまっていて歩きやすくなった。かなりの急登が続いたが、アイゼンが気持ちよく雪面にかかり、前述の取り付きよりは楽に歩けた。
どこから来たのかいつしかトレースが現れた。しかも新しい。先行者がいるようだ。自分たちだけの静かな山行を期待していた私はちょっぴりがっかりした。

AM9:40  870m地点で一本。荒島岳の頂上が遙か上空に顔を出している。白くて立派な峰だ。稜線まであと半分のところまで来ているが、まだまだ遠く感じた。振り返ると奥美濃の白い峰々が青い空に映えている。山が大きい。
さらに登っていると右手に見えていた尾根がだんだん近づいてきた。いよいよ稜線も近い気配。まばらだった樹林が更に少なくなって、しまいに全くなくなった。風が強くなった。急斜面はアイゼン無しでは滑ってどこまでも落ちてゆきそうだ。
MOさんはなかなか快調に歩いている。反対に伊藤さんは少ししんどそう。
あと稜線まで十数メートルというところで単独の下山する男性とすれ違った。トレースの主なのか。彼は堅い雪の急斜面をワカンで降りていった。自分には怖くて真似できないと思った。
正午 稜線にやっと到着。「小ナベ」と言うらしい。強風が吹き荒れるなか、取りあえずザックを降ろして体勢を立て直した。とにかく風が強くて行動食を頬ばるのにも難儀だった。うっかりしてると斜面にザックが流れ落ちそうにもなる。
荒島岳頂上は稜線の彼方に一際高く、しかし頂上部は穏やかな丸い造形を見せている。集中は明日の朝10時の予定だが、今日の内に着いてしまいそうだ。なによりこんな稜線上には幕営できる場所も無い。頂上をめざして歩き出した。arasima1.jpg (13306 バイト)
稜線は西側に雪庇が発達している。先ほどの男性のものと思われるトレースを参考にして歩くが、前方に見えるトレースが雪庇の上をなぞって付いているのを見ると恐ろしくなった。

PM1:15山頂着。頂上の祠は屋根だけが雪の上にでている。幕営地を探すが良いところが見つからない。結局少し戻って山頂より東陵側に降りてすぐのところに整地してテントを張った。
思ったほど風は強くなく穏やかな天気だった。
 
夕刻、定時交信でCパーティーとのみ連絡がとれた。現在位置は「頂上まであと10歩ぐらい」と報告。林リーダーから「明日の集中用に全員(14)が入れる雪洞を用意せよ」と指示が入る。冗談とは思ったが、取りあえず明日の朝からやることは雪洞掘りに決まった。
翌朝天気は最高に良かった。テントからトイレ場を挟んだ東側に阪リーダーが雪洞を掘り始めた。もの凄い勢いで雪の壁に穴が空いてゆく。そのパワフルさに圧倒されつつ微力ながら手伝う。
AM8:30Bパーティーが頂上到着。しばし歓談のあと、一緒になって雪洞を掘ってもらう。穴の大きさはそこそこの大きさになった。AM9:30Cパーティー到着。Bパーティーは集中には間に合わないらしい。記念写真を撮って、思い思いに行動食をとって、山頂からの素晴らしい眺めと達成感をかみしめた。あまりに天気が良いので視界の遮られる雪洞には自分を含め誰も入らなかった・・・。
下山は早かった。ルートはスキー場に降りる一般道をとった。昨日とは違いたくさんの登山者で結構な賑わいであった。シャクナゲ平で大休止をとった後、PM2:00頃無事下山。
 

帰りのルートで精算の為皆でMOさんのお家にお邪魔した。初めて入るMOさんの家のダイニングには山の記念写真が壁に所狭しと飾られてあった。キミコ夫人にお茶を入れていただいた。彼女も山をやるのだ。写真にもたくさん写っている。
「いつもすみませんねぇ」とキミコさんは僕たちに言った。
「まだまだ行けるよー」とMOさん。二人並んだ笑顔がとても微笑ましく、嬉しい気持ちになった。

 〔タイム〕
3/13
 AM720橋架谷・毛尻谷中間尾根取り付き=正午小ナベ=PM1:15荒島岳山頂着
3/14 AM11:30山頂発=PM2:00下山

 

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