飛越/庄川支流野々俣谷〜なお谷左岸支流下降

■2003/6/21-22 高橋/藤澤  藤原(無所属)


■未登?未記録?会心の溯行、白山の珠玉の沢を行く

昨年の晩秋、下呂在住の写真家・和合氏から白山で素晴らしい沢を見つけたという情報を貰った。それが野々俣谷である。氏は時間切れで途中までしか溯行できなかったということだが、それでも下流部のゴルジュは素晴らしく、チャンスがあったらぜひ行ってみれば、というありがたい情報であった。
しかし、すでに白山には雪が来ており、溯行のチャンスは翌年に持ち越すしかなかった。そして、待ちに待った今シーズン、ようやく野々俣谷に遊ぶチャンスが巡ってきた。

6/21(晴れ)
うまい具合に梅雨の中休みに当たった。平瀬から庄川を対岸に渡り、野々俣谷出合を目指して林道に車を入れる。車をデポした路肩には、急な谷底に向けて真新しい靴が揃えて置いてある。「はては自殺者のものか…」いやな予感がよぎる。
溯行準備を整え、林道からブナが立った急な斜面を下降する。下りたところがドンピシャのタイミングで出合だった。水量は思ったより豊かで、しばらくは小滝が散発的に出てくる程度。12メートル滝を右岸から巻くが、ここに鉈目。どうやら和合氏のものと思われる。左岸からスラブが食い込むと下部ゴルジュとなった。深い釜を持っているが、微妙なへつりで通過できる。なかなか楽しいところである。再びゴーロとなり頭上に林道の橋をくぐる。

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沢幅が4〜5メートルに狭まり、V字状の廊下帯になると堂々と落ちる斜瀑20メートル。ここは釜を伝って左のルンゼより高巻く。やせ尾根を登り川床へ下りる。しばらく進むと今度は2条2段18メートル滝。藤原さんと藤澤さんがシャワーを浴びながら中段まで登るが、上段の滝は突破不可能。しかし、今度は下りるに下りられない。何とかクライムダウンを試みようとする藤原さんを制止し、私が左岸から巻いて懸垂で下降できるようにロープをセットする。藤原さんはすんなり下降するも、藤澤さんが懸垂に失敗し、そのまま釜の中へ。「ひぇ〜」、釜が浅くてよかった。それにしても冷や汗が出た。基本的な動作の失敗は命取りになる。藤澤さんの運はまだ尽きてないようだ。
全身ずぶ濡れの藤澤さんを叱咤し、左岸から巻いて10メートルの懸垂で滝を越した。しばらくナメが続き、12メートル滝と7メートル滝を左岸から巻く。ここにも鉈目、和合さんの足跡か。 広いゴーロとなったところでタープを張る。
ブナやミズナラ、サワグルミに囲まれた快適な幕場だった。もちろん、盛大な焚き火を楽しんだ。

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6/22(晴れ)

ラッキーな二日続きの晴天。歩き始めてすぐにゴルジュに突入。大釜をもった5メートル滝は50メートルほど戻り右岸から巻く。小滝が続くゴルジュは微妙なへつりでかわしていくが、結構しょっぱいところもある。ゴルジュ最後の15メートル滝はくの字に曲がる直瀑で陰険な表情。ここは左岸から獣道を拾いながら巻いた。沢は少し開け、左岸の斜面に雪渓が現れるようになってくると、今度は左岸が根こそぎ剥がされたような、大崩壊壁。ひとかかえあるようなブナの大木も無造作に折重なるように転がっている。一気に駆け抜け、右からの枝沢を見送る。すぐに小さなゴルジュとなったが、特に問題になることもなく通過。やがてナメや小滝が続く渓相となってくると、もはや野々俣谷も源流の様相となり、水が涸れたガレに入って1時間弱で稜線に出た。
稜線からは1734メートルのピークを経由して、右岸尾根を下降することも一案としてあったが、道もない激ヤブ状態では何ともならない。なお谷の左岸支流に下ることにし、一気に駆け下りた。うまい具合に、滝のひとつもなく、2時間弱で林道に出ることができた。
おそらく未記録の沢だと思うが、白山にあって、それも人里からこんなに近い場所にあるにもかかわらず、見事なブナの原生林を始めとした自然が残されている姿に感動した。もちろん、まったく人臭さを感じないアタリの沢であった。[高橋 記]

<タイム>
6/21 林道デポ地点12:00 出合12:20  林道橋13:40  斜瀑20メートル13:50  幕場16:15
6/22 幕場6:40 15メートル滝7:35  大崩壊壁8:30  奥の二俣10:25 1734メートルピーク11:55   なお谷下降〜林道14:40

 

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