■春の終わりに、なごりの雪を求めてすっきりした雪稜を行く
白山
三方崩山弓ヶ洞谷中間尾根
〜弓ヶ洞谷左岸尾根下降
■2003/4/13 高橋/藤澤 藤原(無所属)
昨年の冬集中で弓ヶ洞谷右岸尾根を登ったとき、対面する見事なまでのすっきりした雪稜ラインに魅せられ
てしまった。それからずっと気になっていたが、僕がてっきり左岸尾根と思い込んでいたラインは、林正君の
報告で中間尾根と分かった。ほんとうの左岸尾根は、さらに北方の1402bピークと北尾根稜線の1897bピ
ークを結ぶラインだということが分かってきた。2月、3月と悪天等でチャンスを逃し続けたが、ようやく計画実
行を見た。できれば一泊山行にしたかったが、直前の悪天を察知し、結局、軽荷・日帰りの山行となった。不
本意であるが、左岸尾根は下降ルートにとることにした。
いずれにしてもこんなマイナーな尾根をトレースする物好きはそうそういないはずだ。
4/13(晴)
「一気に駆け上がりたい」…僕の主張が通って、早朝出発。寝坊があたりまえのメンバーには珍しい。すっかり
雪が無くなった弓ヶ洞林道をしばらく歩き、雪融けの水がどうどうと流れている谷に入る。雪はしまっていて歩き
やすいが、気温も高く陽が昇ればすぐに腐ってくることだろう。
最後の堰堤の右手から中間尾根に取り付く。アイゼン・登攀具装着。しばらくは急な樹林帯の登高が続くが、
高度を稼ぐにつれ、すっきりした広い雪稜となってきた。眼前に弓ヶ洞谷左俣の側壁群が素晴らしい。時折、
雪崩の音が響く。この時期、左俣はいたるところが雪崩の巣のようになっている。「クワバラ・クワバラ」だ。
さて、中間尾根は上部で比較的傾斜が強い雪壁の登高があるが、やさしい尾根である。林正君も書いている
が下降ルートには手ごろだと思う。ロケーションもいい。昨年登った右岸尾根のラインもいいが、眩しいくらいに
真っ白く輝く下降予定の左岸尾根がなんといっても素晴らしい。
3時間ちょうどで稜線(北尾根)に飛び出す。まだ一度も登ったことが無いという藤原さんの希望もあり、三方崩山
の頂上に向う。樹林帯の中は雪がたっぷりとあり、ワカンが欲しいくらいだった。途中、大ノマ谷を山スキーで上
ってきた登山者2人とすれ違う。山頂は春のポカポカ陽気にあおられて、生暖かい空気が陽炎のようによどんで
いた。
再び北尾根を引き返し、中間尾根を過ぎてコルから左岸尾根のギャップに向う。弓ヶ洞谷右俣のコルへは山ス
キーヤーの定番ルートなのか、コルの付近には真新しいスキーのトレースがついている。左岸尾根の下り口に立
つと、何とスキーを履いて左岸尾根を登って来るパーティがいるではないか。僕が当初、この尾根を登る物好き
はいないのではないか、と思ったのは大間違いだったようだ。
尾根の下りは、しばらくは広い斜面である。スキーのトレースはすぐになくなり、よく見ると斜面が緩いシッタカ谷
にトレースが続いていた。
さて、そこからが面白い。左岸尾根は左右すっぱりと切れたナイフエッジが連続するようになってきた。まるでジェ
ットコースターで急降下するように、足元が見えずいきなりストンと落ちる感じである。「こりゃあ、アタリだよ」。
「最高、最高」を連発しながら、ヤジロベーになった気分で高度感を充分楽しみつつ、下っていく。やがて傾斜が
ある広い雪稜となりブナの林に突入し、1402b手前のコルからデブリの跡を辿り、右俣に入り中間尾根の取り付
きに戻った。
[ぐるっと周遊]という感じのコースだったが、目いっぱい歩き、楽しめた。近頃にない会心の山行といえるだろう。
それにしてもこの左岸尾根、ポイントが高い。弓ヶ洞を巡る雪尾根の中でも出色だろう。[高橋 記]
<タイム>
3/22 弓ヶ洞谷出合5:45 中間尾根取り付き6:50 北尾根10:45
三方崩山12:00 左岸尾根分岐13:25 中間
尾根取り付き14:15 弓ヶ洞谷出合15:00