大峰/立合川本流〜笠捨谷〜芦廼瀬川本流下降

■04/05/01-03      ■定藤/田中義・中村  〔記〕定藤


立合川は笠捨山を源流とし、滝、廊下、ゴルジュの発達した大峰の代表的険谷である。また、芦廼瀬川は涅槃岳、笠捨山の西に位置し、百間グラ・焼グラなどの大規模な岩壁が発達した自然の造形美を残す数少ない沢として知られている。これら2つの秀渓をゴルジュ突破を交えながら繋いで遡下降するのは私の数年前からの懸案であったが、今回強力パートナー2名の参加を得て成し遂げることができた。 

 前夜(4/30)東名阪亀山IC付近に集合し、伊勢自動車道勢和多気ICから国道42号をへて、国道169号沿いの「道の駅 おくとろ」で就寝。 

5月1日(晴)
169号東野トンネル手前に車をデポし、鉄製ハシゴを伝って沢筋に降りる。小滝・淵を数個越えて7m滝を右岸から巻くと、大釜を従えた5m滝(はま松滝)がかかる。定藤がザイルを引き、釜を泳いで右岸を登り、大岩の隙間の穴を利用して沢筋に戻る。
つづいて5m滝の先に40mの大滝がかかる(第2ゴルジュ)。5m滝を越えた左岸のルンゼから巻きにかかるが、次第に傾斜がきつくなりザイルを出す。中村リードでアンサウンドな草付に軟鉄を打ち込んで1ピッチ登り、後続ユマーリング(タイブロック)で越える。タイブロックの効きが悪く肝を冷やした。結果的にはもっと手前から巻くべきだったかもしれない。少し巻き上がると登山道があり、傾斜が緩くなったところから沢筋に戻る。

次の「第3ゴルジュ」6m滝は右岸を田中がリード。しかし、その先の滝が越えられそうになく、やむなく懸垂で引き返して右岸を巻くと?道につきあたり、斜面を下降する。8m滝は左岸を巻く。次第に両岸が立ち、20、20、10、10mの廊下が連続してかかり、すべて泳ぎで突破する(第4ゴルジュ)。
ここを越えると谷は様相を一変し、穏やかで明るく開けた一枚岩ナメが連続する。来てよかったなあと思えるところだ。朽ちかけた吊橋が頭上をよぎると正面に迫力ある40m大滝がかかる。「うしお滝」であろう。ここは右岸のルンゼから高巻く。
時間も16時をこえ、この先の左岸に幕営に適した川原を見つけて初日のねぐらとした。盛大な焚火で夜を過ごす。

5月2日(曇のち雨)
テント場を後にして、最初の大釜8m滝を右岸から巻き、次の5m、2mは直登(第5ゴルジュ)。しばらく川原となるがやがて20+10mの2段滝が現れ、右岸を巻くと20mの長瀞をしたがえた2条5m斜滝となる。定藤がザイルを引き、強烈な流れに押し戻されそうになるのを辛うじてこらえ、右岸にハーケンを打ち込んでアブミをかける。斜滝はスメアリングで越えて後続はユマーリング(第6ゴルジュ)。次の「第7ゴルジュ」入り口の5m滝は左岸を簡単に巻くこともできるが、滝身右奥のガリーに活路が見出せそうだ。同様にザイルを引いて釜の左岸側を回りこみ、水流右のガリーにエイリアン×2を効かせて突破した。ここも後続はユマーリング。数個の小滝を越えてゴルジュを抜ける。つづくスラブ滝8mは左岸を高巻き、次の15m滝は右岸の岩稜を越えて懸垂で沢筋へ下降する(第8ゴルジュ)。
この先も小滝、廊下が現れるがもはや問題となるものはなく、廊下の出口の15mを左岸から越えるとやがて沢は源流の様相を呈してくる。伏流の八丁河原の先に朽ちた植林小屋があった。再び水流が現れ奥の二俣を右、その先の分岐を左にとって急峻な源流帯を藪こぎを交えながら詰める。踏跡が漸次明瞭になってやがて登山道となり、反射板のある笠捨山東峰を経て祠のある本峰を踏む。葛川辻まで下って「水場」の標識にしたがって水を探しに行くが既に水は涸れていた。ここまで来て水なしビバークはきついがやむをえない。風雨も強くなってきたので急いでタープを張り、行動食の余りを食いつぶしてシュラフに潜り込んだ。 

5月3日(曇) 
昨晩の雨をためておいたコッフェルでお茶を沸かして出発。葛川辻から「水場」標識の方向にくだり、笠捨谷の沢筋に下りる。しばらくは明るいナメの連続だがやがて25m滝が現れ、左岸の踏跡をたどって途中の立木から40mザイル一杯(20m)の懸垂下降。この後もナメが続き、やがて頭上を国道425号が過ぎると10m滝頭に出る。ここは左岸の踏跡をたどって芦廼瀬川本流へ巻き下る。
本流を下ってすぐに「S字の淵」が現れ、飛び込んで泳ぎ下る。広いナメと小滝を数個越えると、核心の長淵を従えた8m滝。左岸側がスベリ台状になっており、中村が先陣を切ってウォータースライダーで飛び込む。つづく「焼グラ淵」「ヒイラギ大淵」も快適に泳ぎ下る。このあたりから雲間に日が差してきたため、ほとんど寒さは感じない。その先は「フジネ」というきれいな岩盤帯だ。その名のとおり周囲には藤の花が垣間見られ気持ちを和ませてくれる。
遡行も最終盤にさしかかり、最後の関門である槙滝、保色滝、七泰の滝の連瀑帯だ。まず槙滝は瀑芯を避けるため左岸の立木から斜め懸垂でテラスに下降し、テラスの立木から淵へ懸垂下降して泳ぎ下る。保色滝は左岸を簡単に下降。七泰の滝は右岸に鎖と巻道がついていたため、それを利用して下降した。七泰ダム右岸側のハシゴを使って林道に這い上がる。
湧き上がる満足感を噛み締めながら林道を上小川の集落へと下った。 

※うわさに違わぬ中身の濃い秀渓であったが、メンバーと天候に恵まれたおかげて当初予定(4日間)より1日早く終了。晩春のゴルジュ突破も随所に交え、 充実した山行を満喫できた。なお、上小川から車デポ地(東野トンネル)への帰還については、地元の多くの方々のご好意に助けられました。この場を借りて御礼申し上げます。

 〔タイム〕
5/1 7:40入渓 - 9:15はま松滝 - 13:00第3ゴルジュ入口 - 3:00第3ゴルジュ出口 - 16:10幕営地(40mうしお滝上)
5/2 7:20出発 - 9:20第6ゴルジュ出口-13:30第8ゴルジュ出口-15:10八丁河原-18:00笠捨山頂上-18:30葛川辻
5/3 7:15出発-9:00 20m滝下-10:10芦廼瀬川本流-11:00吊橋-12:50上竜宮谷-15:40槙滝-16:25七泰ダム(終了)

 

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