白山/三方崩山東峰北東稜(仮称)〜弓ヶ洞中間尾根下降

■01/03/19 前夜発      ■林正(単独)

週末直前になって急に4連休が取れることになった。パートナーもいないので笠ヶ岳から三方崩への単独雪稜クライミング・ツアーを思いついたりもしたが、天気の悪い土日をあっさりと切り捨て、月火で三方崩に行くことに決めた。幸いにも火曜日に南尾根の第四岩稜へ入る金沢の2人が合流の申し出を受け入れてくれたので、月曜日は以前から気になっていた奥壁の偵察を兼ねて弓ヶ洞谷へ入ることにする。とはいえ、独りのロングドライブには全く自信がないので、身重の妻に「平瀬へ温泉旅行に行かない?」と誘うと意外にも「わーい、行く行く」という返事が返ってきた。早速民宿を予約して土曜の夜、80キロ以上出すとガタガタ揺れ出す不快なルノー・ルーテシアで平瀬へ。でもこの晩は、いつものように共同浴場の軒先でビバーク。妻には厳冬期用のシュラフを貸しているので、どうぞご心配なく!

19日(快晴) 早朝から民宿に妻を預けて、車で弓ヶ洞谷林道へ。僕の街車でも最終除雪地まで入ることができた。驚いたことに先着車両があり、先の林道にも所々トレースが残っていたが、山ヤが入っているのだろうか?弓ヶ洞谷は部分的に急峻なルンゼや側壁からのデブリが出ているが、場所さえ選べばアプローチ、幕場とも問題はない。特に二俣から左俣の奥の二俣にかけては幕場適地がいくつかある。この日は計画通り、左俣の奥の二俣付近から平瀬尾根上1956m標高点の西にある三方崩山東峰(仮称)にのびている北東稜に取り付く。雪壁から雪稜をうねうねと登っていき、上部の急登に入る手前の平坦地で最初の休憩をとっていると、「ホーッ!」という声が聞こえたような気がした。鳥かなと思っていたが、再び「ホーッ!」という声が聞こえたので、こちらもコールを返してみたところ、弓ヶ洞谷の上部に豆粒のようなスキーヤーの姿を認めることができた。遠くから「林さんですかー?」という問いが来たので「はい、そーです!」と答える。「鮎川さんから聞いてまーす!」と返してきたその人は、めっこ山岳会の三宅さんであった。直接の面識はないが、よく「さわわらし」の会報の表紙に描かれている気持ちの悪いイラスト(画:鮎川正)のモデルになっている人だと聞いていたので、なんだか親近感がわく。三宅さんは「では、気を付けてー」と言い残し、華麗なシュプールを描いて消えていった。
ここで輪かんからアイゼンに履き替えて、藪壁の間のルンゼをダブルシャフトで登高し、傾斜の落ちた潅木帯を抜けると、平瀬尾根に飛び出した。風が心地よい。こんな心地よい風を感じたのはかなり久しぶりだ。東峰から笈ヶ岳と大笠山の優美な姿を堪能し、三宅さんが付けてくれたトレースを辿って誰もいない三方崩の頂へ。この頂を踏むのはこれで5度目と剱の次に多く、愛着のある頂だ。真っ白な白山本峰と別山を拝んでから、三方崩山中央峰(これも仮称)から北へ伸びている北尾根を下り、弓ヶ洞中間尾根との分岐に至る。次回に備えて潅木に赤布を付けておく。北尾根直下は急な雪壁なのでバックステップで下るが、あとはほどよい傾斜なので、足がもぐりすぎるのを我慢すれば、割と楽に下れる。中間部に切れ立った藪壁があり、ここは右俣側の雪壁を80mほどバックステップで下ることになる。中間尾根の末端まで雪が付いていたので、二俣まできっちりトレースできた。下降路に適した尾根である。車に戻ると、三宅さんからのメモが残されていた。僕より4時間半も早く、午前中に下山していた。民宿に帰り、温泉、夕食、ビールと束の間の旅行気分を満喫。あとは金沢の2人を待つだけだ。[林正   記]

〈コースタイム〉
3/19弓ヶ洞林道P(7:15)弓ヶ洞谷二俣(7:50〜8:00)北東稜末端(8:45〜9:00)東峰山頂(12:00〜05)三方崩山山頂(12:35〜50)中間尾根分岐(13:40〜45)弓ヶ洞林道P(16:00)

 

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