名古屋ACC(名古屋アルパインクライミングサークル)〜沢登りと山の会

名古屋の沢登り好きな山岳会

小矢部川マサキ谷〜倉谷川ジャバミノ谷〜シンノ谷稜


■2009年6月6日〜7日

■L林(記)・岡崎・廣澤

マイナー支流溯下降、山菜、岩魚、本流溯行、エスケープ、そして集中・・・春の沢を満喫した2日間。 2日目11時の交信。現在地は倉谷川シンノ谷の1090m付近。集中地である見越山の頂まで標高差にして500m以上。「上流で右岸の支沢に入って登山道から山頂を目指す」とルート変更を告げたものの、それでも間に合うかどうか・・・更なるルート変更に備えて、計画には無かった12時の交信をお願いした。溯行を再開し、右岸から1本の支沢が入る。トップを歩いていた岡崎が立ち止まって地形図と見比べ、「この沢はどうですか?」と問いかけてきた。事前に水線も引かず、全くノーマークだったこの支沢。エスケープを想定していた上流1280mと1340mで出合う支沢と比べると、登山道までの水平距離は倍ぐらいあるが、改めて地形図を眺めてみると、コンターは広く、沢形も顕著。ひょっとしたら、ミラクル・エスケープになるかも・・・

◆6月6日(土) 晴→曇

小矢部川マサキ谷

3パーティーが前泊した道の駅「上平」に一足早く別れを告げ、ブナオ峠に到着すると、まだ6時前だというのに大人数のグループが続々とやってくる。山菜採りグループと登山者グループがわさわさと出掛けた後に出発。刀利ダムへと続く県道のゲートにはコンクリートの塊が結わえられ、「半永久的に通行止め」という感じ。ところどころ崩壊した県道を下りながら、夕飯の食材を少々採取。小1時間でマサキ谷(正木谷)に到着。堰堤を2つ越えると、ミニゴルジュが続く小気味いい渓相に一変した。見事なミニV字谷で手頃なウドを見掛け、我慢できずに少々採取。上部の7m滝でロープを出した以外はノーザイルで登れる滝が続く。稜線直下数十mまで水が切れない谷に感激するも、最後の最後で詰めを誤り、稜線の乗越地点へ少々トラバース。ここから倉谷川ジャバミノ谷への下降を開始。これまた素晴らしく何も無い下り向きの谷だが、傾斜が緩んでくるところで水が涸れた。計画時より「ジャバミ平」という名の平坦地は一体どんなところか?と大きな期待を寄せていたが、この伏流で俄然不安が増してきた。藪の涸れ沢で蔓に絡め捕られ、難渋する姿が思い浮かぶ・・・しばらく涸れ沢を下り、ふいに聞こえてきた水音にそんな不安も掻き消された。大休止の後、下降を続けると、先行の2人が水辺で雄叫びを挙げながら採取の民と化していた。伏流水がもたらした秘密の園、ジャバミ平の歓喜。予想外の展開だが、廣澤君にとっての外堀は埋まったようだ・・・廣澤さん、期待してますよ・・・とエラそうにのたまう岡崎であった。本流に近付いたところでゴルジュの連瀑帯となり、まずは12m滝を懸垂下降し、続く滝は右岸から巻き降りる。泥壁の途中に古そうなトラロープが残っていた。もう2つほど小滝を下り、本流に出た。

廣澤さんが待ってましたとばかり竿を取り出し、幸先良く一匹ゲット。小躍りする岡崎を尻目に、地形図を睨んでこの先の行程を熟考する。集中のためには初日の幕場が重要なポイントだ。この先、倉谷川はゴルジュが続く。ゴルジュだからといって幕場が皆無でもないだろうと、地形図のコンターの緩み具合から泊まれそうな地点を4箇所想定していた。が、そのほとんどは希望的観測であり、泊まれるという確信が持てるのはゴルジュ手前の最初の1つのみ。しかし、そこに泊まって明日の集中に間に合うのか?「さわわらし」の記録では、ここから見越山山頂まで8時間45分かかっている。結論を出せないまま、廣澤さんには釣りながら進んでもらうことにした。水平距離にしてわずか500mほど進んだゴルジュ手前で廣澤さんを待つこと50分・・・昼寝している岡崎を尻目に幕場適地を物色し、何とか合格点の場所が見つかった。時間も15時前ということで、明日の早出を条件に幕営を決めた。焚き火を熾し、石で秘密の幸を下ろし、岩魚の刺身を食す。最高!ウドの刺身、キンピラと続き、メインは天麩羅、最高!鳴り物入りの焼きウドは、微妙・・・独特の風味が消えている???岩魚の塩焼きで中締めとなる。夕方から夜にかけて上流側、南の空に何度も暗雲がやってきて、雨が降らないかとの不安をよそに、焚き火は熱く大きく燃え盛る。

◆6月7日(日) 晴/曇

小矢部川マサキ谷

前日が完全な寝不足だったため、7時間半は眠りたいとの思いから2時40分起床となった。それでも春山並みの起床時間だ。熾きが残っていたので、すぐに焚き火の朝食となった。5時出発予定だったが、なんだかんだ時間が掛かって5時半出発となり、集中までの持ち時間は7時間半。最初のゴルジュに突っ込み、二条18m滝から個性的な滝が続く。左岸からネズ谷が出合った先が冷たく深そうな淵で、さすがに泳ぐ気がせず、ネズ谷を少し登ったところから高巻きに入る。ネズ谷上部には大きなスラブ滝が懸かっており、下流部のアザン谷も含めて倉谷川左岸恐るべしといった印象。獣道がバンド状に長々と続き、25m一杯の懸垂で降り立ったところが曲谷出合だった。この先のゴルジュを水線通しに溯行していくと、ついに険悪なスノーブリッジが現れた。上か下か迷ったが、下を30mほど駆け抜けた。続くスノーブリッジは上を歩き、降りたところが890m付近の無名谷出合。ここをエスケープの判断ポイントと考えていたが、まだ時間が早く、本流を進むことにした。8m滝の左壁を快適にリードして、続く連瀑帯を気持ちよく越えていく。谷が左に屈曲し、長いスノーブリッジ上を進んだ先に厳しそうな15m滝が懸かっていた。スノーブリッジを引き返し、そのまま左岸の泥壁をトラバースして高巻きに入ったが、6mほどの泥壁トラバースが厳しく、バイルでスタンスを作りながらの腕力勝負となる。眼下の滝を2つほど越えたところでまたもや25m一杯の懸垂下降。続く二条7m滝を反対側の右岸から高巻いた先がバショ谷出合だった。時間は10時ちょうど。想定タイムより遅れていたが、ここまで休憩無しで来たので、小休止とする。続く連瀑帯を水洗通しに越えながら数えてみると、見事な五段の滝だった。この先で右岸からイワト谷が出合ってきた。ここまで結構時間が掛かったが、なかなかダイナミックな本流溯行だった。マイナー支流の溯下降も渋くていいが、やっぱり王道は本流だよな・・・と思わせるものがあった。

小矢部川マサキ谷

ここから山頂までの標高差600mに対して持ち時間は2時間40分。とりあえずシンノ谷を溯り、11時の交信の時点でエスケープを判断することにした。出合すぐの滝は右岸の泥壁にBパーティーのものと思われるトレースを発見し、これを辿って高巻く。悪相のスノーブリッジは、下を潜って階段状の滝を這い上がる。標高1090m地点で11時の交信を迎え、Aパーティーに現在地とエスケープを告げるところが冒頭の場面。前述の1160mで出合う支沢を少し溯ると、雪渓が現れ、念のため水を500ml汲んでおく。雪渓はハイウェイのようにどこまでもどこまでも続き、全く途切れる様子がない。次第に傾斜を増していくが、足を滑らせた瞬間にピックを叩き込めば止まるはず。あわよくば登山道に出て12時の交信を迎えたかったが、さすがに届かず、1330m付近での交信となった。ルート変更と現在地を告げて、行動を再開。雪渓は稜線直下20mほどまで続き、1407m標高点付近の登山道に飛び出した。時間は12時15分。ザックはここにデポして、行動用装備だけ持って山頂を目指す。標高差こそ200mちょっとだが、アップダウンがあってキツい。何人もの登山者が下りてくるのに驚いた。こんなにポピュラーな山だっけ?ラスト数分というところで、山頂の仲間が手を振っている。とうとう手首のプロトレックが13時00分を表示したが、とても走れたもんじゃない。しんがりで13時02分にゴール・・・惜しい!電波時計なので、「俺の時計では13時ちょうどだよ」なんて言い訳もできない。とはいえ、見事なエスケープルートだった。岡崎の慧眼に感謝。なお、下のコースタイムでは5分刻みのため見越山13時00分となっているので、あしからず。

年報11 好評販売中

価格:2,000円(税込)

<詳しく>


年報10も販売中

価格:2,000円(税込)

<詳しく>